短編
雪の下にて想ふ
このまま、此処に居れば
君のもとにゆけるだろうか。
灰色の空から舞い落ちるのは、白い花。
絶えず、静かに地に舞い落ちる。
誰かの代わりに泣いているようで。
その白さと冷たさは否応なく私に
君を連想させる。
生気のなくなった白い肌と温かさのない身体。
「…このまま…」
私の身体は時間と共に雪に覆われて、
私の体温を奪い取ってゆく
それで構わない
そのまま、君のところにゆけるなら。
深々と降り積もる雪に君を思いながら
私は目を閉じる
空が暗いのに、地が明るいのは
せめての慰めなのかもしれない、と。
fin.
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written by 恭玲 site:
願い桜